31 janvier 2011

1月27日 le jeudi 27 janvier 2011 ケン・ブグル『リワン』 «Riwan» de Ken Bugul

Le jeudi 27 janvier 2011
曇時々雨。7時、気温22℃、湿度75%。

灯油を3L購入。去年石油コンロを買ったときに1.5L買っている。これが6ヶ月以上もった。一昨日の停電が長かったので、万一に備えて3Lにした。またこんな長い停電はないかもしれないけれども。

洗った車は、見事に汚れた。キプシ街道の悪路、水溜りの所為だ。

15時、左後輪がパンクしているのを発見。Ivon君のオープン・ガレージまで持ちそうもない。ルブンバシの街中のガレージで修理した。4000フラン(310円)。久しぶりのパンクだった。原因は2cmの釘。

ケン・ブグルKen Bugul『リワンRiwan』を読み終えた。文庫本で223ページ。面白かった。ストーリーはセリーニュの奥方たちのそれぞれの生き様である。セリーニュSerigneはアラブでいうシェイク。セネガルの伝統的地方名士、土着宗教の象徴的存在でもある。テーマはポリガミー(一夫多妻制)。小説のナレータ自身、セリーニュの28番目の妻になる。現代小説でありながら、描かれる世界はまるで中世。読みながら時折時代を錯覚する。この歴史
的時間のギャップが興味深い。女権運動の闘士が語るポリガミーではなく、ケン・ブグルは現実のポリガミーがどう機能しているのかを淡々と語る。女性でなければ分からない世界(男子禁制の世界)をも教えてくれる。結婚の意味、初夜における処女性の重視等々アラブ世界ないしはイスラム政界と共通項も多いが。特殊アフリカ文化を開示していく。
「結婚とは人生の選択であり、相手の男を選ぶことや環境や地位を選ぶことではない。人生のある選択」。と結論付けている。これは現代の西欧的価値観からすれば、選択ではなく「運命の受容・甘受」に過ぎないのではないか。結婚とは契約であると僕は思うのだが、契約と選択との関係を作者に明らかにして欲しかった。彼女への提言である。
ケン・ブグルの文章は、リズム感がある。短く、単語の繰り返し、体言止めなどを駆使して無駄がない。全体の構成も上手い。彼女はこの作品で1999年の「ブラック・アフリカ大賞Grand Prix de l’Afrique noire」を受けている。
29人目の妻を迎えてから、この小説『リワン』のセリーニュは他界するが、どうも妻たちは新しいセリーニュ、亡くなったセリーニュの息子が相続するらしい。若いセリーニュも既に結婚して数人以上の妻がいるだろう。加えて30人近い妻を相続するのは容易ではなさそうだ。悲劇的結末を読みながら、ふとそんなことを想像した。この作品の続きを書いたら面白いだろう。
なお、題名のリワンRiwanとは、セリーニュに仕えるがセリーニュの命令なく奥(セリーニュの妻たちの住む区域)を自由に行き来でき、妻たちが外出できないので代わりに外での用事をこなす役割を担う男子の雇い人である。宦官ではなく、不通の男である。セリーニュとの信頼関係の上に成り立つ特殊な立場といえよう。この小説の中では、リワンとセリーニュの妻たちとの不倫関係などは出てこない。
(画像は今日のケン・ブグル。1月20日のブログの画像は若いときの彼女だった)。

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