08 août 2019

7月1日~7月31日 au mois du juillet 2019


le lundi 1er juillet 2019
6時半、快晴、1850%。

電力消費量491kWhで先月検針よりも139kWh多かった。ヒーター(2000W)を朝夕つけたためだ。でも意外と少ない消費量。電力料金は見なしで660kWhになっているので毎月同じである。

『ぼんち』(市川崑監督、1960年)。市川雷蔵主演。母の大好きな役者雷蔵の好演と思う。船場の足袋やの話、とても面白かった。山崎豊子は『大地の子』しか読んでいない。
戦前戦中戦後、船場のしきたりが興味深かった。谷崎の『細雪』のモデルとなったSさんのことが思い出された。

荷風『雨蕭蕭』(あめしょうしょう)。面白かった。老人が寂しいとか寂しくないとかの段は飛ばして、「ヨウさん」という人との交流が面白かった。また「のである」という「野卑蕪雑な」文体の下りには、その通りだと笑った。荷風はともかく日本語としてとても真面だ。

ついでに『刺青』(谷崎潤一郎)。ちょっとがっかり。リズムがない。展開がバナルbanalなんだよね。それにKindle版は新字新仮名づかいになっている。つまらない。荷風が『刺青』を激賞したというけど、僕にはその真意がわからない。

『少年』(谷崎)。これはサドマゾだ。語り手が10歳のころの回想になっているが、幼さなどはない。瘋癲少年たち。僕は共感がないなぁ。今夜の夢見がわるいぞ。『刺青』もそういえば、彫り物師と彫られるものとがサドマゾの関係だ。それが逆転することがあっても、構造は同じ。『春琴抄』も変わりなさそうだ。純愛とは程遠いと思う。誤解が生んだ受容じゃないのかなぁ。

le mardi 2 juillet 2019
6時、快晴、1850%。

荷風『二人妻』。面白いが世界が狭い。千代子と玉子という若い妻たちの話。大正時代の中流か上流社会の婦人の語り。愚にもつかない。こういうのを何小説というのだろう。荷風らしいというのか。文章は上手い。しかし、右から左に忘れてしまう。着物の説明がとても真似できない。精緻。これは鴎外もよく書いている詳しさだ。今の作家には出来まいが、今の女性はもっと簡単なものしか着ていない。男も同様かな。

荷風『つゆのあとさき』。銀座のキャバレーの女給(ホステス)の話。途中で読むのを投げ出した。
同『濹東綺譚』。玉ノ井の方が銀座よりもいい。けれどもどうも僕の趣味ではないなぁ。

le mercredi 3 juillet 2019
6時半、快晴、1955%。

歯痛。朝、Paracetamol1000㎎を服用。パラセタモルは10g/日も飲むと毒薬らしい。薬は出来るだけ飲みたくないが痛いのだから致し方ない。

荷風『四畳半襖の下張』。Kindleは有料だったが、ネットに全文が載っていた。読んでみて、僕は猥褻かもしれないとは思う。しかし、そもそも猥褻か否かは裁判所が判断しなければならない事柄ではない。刑法175条そのものが表現の自由からして違憲である。刑法改正に未だ至っていないのは残念としかいいようがない。
野坂さんが10万円の罰金かぁ。罰金刑なら前科がついたってことだ。勲章だね。

インターネット時代になって、ポルノ画像、動画も小学生だって手に入る。それで日本社会が乱れたわけでもないだろう。175条は2011年の刑法改正で廃止になっていない。むしろ強化されている。ダメな司法界だよ。いや立法府がいけないのだ。つまり議員を選んだ国民に責任がある。保守的というより権力に弱い。権力を制限する方向に権利を行使できないのである。

le jeudi 4 juillet 2019
6時半、快晴、2055。アメリカ合衆国独立記念日。

昨日今日と温度が上がっている。不思議。

電力料金支払い。46495フラン(3138円)。

le vendredi 5 juillet 2019
6時半、快晴、2050%。アルジェリア独立記念日。

荷風『すみだ川』。1903年に発表されたHenri de Régnierの小説『Les Vacances d'un jeune homme sage』に現された人物と斉しく、隅田川 風景 によって 偶然 にも わが 記憶 蘇り 来っ 遠い 過去 人物 消え失せん する その面影を捉えたにすぎない、のだそうだ。そうですか。ド・レニエなる詩人、小説家を知らなかったが、荷風が云うのだから小説の出来上がりはそうなのだろう。ド・レニエは1911年にアカデミー入りしている。没年は1936年。享年71。『Les vacances…』はフランス国立図書館BNFのサイトで読むことができる。

この『すみだ川』、東京の下町、墨田川の風景が伝わってきて面白く読んだ。僕の知らない世界を渉猟することができたからである。もっとも、東京下町は僕にとっていつも外国のようなもので、上野、浅草、千住を殆ど知らない。下町情緒というのは想像する世界でしかない。

リズムのある文章で読み易かった。

小説の主人公長吉は十七八の青年。初々しい面もあるが、ちょっと頼りない。夢想家なのだ。けれども美男子で繊細なので、もてる役者になれたかもしれない。

le samedi 6 juillet 2019
6時半、快晴、1950%。

泉鏡花『外科室』。悪趣味だなぁ。ストーリーは単純で明快だけれど、気味が悪い。麻酔なしの外科手術など。

le dimanche 7 juillet 2019
7時、快晴、2045%。

鏡花『高野聖』。講談か怪談の類。これも気味が悪い。蛭(ヒル)や大蛇、蝦蟇蛙(ガマガエル)。山中の一軒家の婦人(女)。慣れれば先が見える筋だが仏教の説話にはならない気がする。

le lundi 8 juillet 2119
6時半、快晴、1945

ブログを更新した。極めてスムーズに出来た。こんなにネットの調子がいいのも珍しい。

le mardi 9 juillet 2019
6時半、快晴、1840

鏡花『歌行灯』。この手を戯作というのかな。

le mercredi 10 juillet 2019
6時半、快晴、18740%。

鏡花『婦系図』。面白い。非常に面白い。軽快。落語の世界。上流社会も魚屋もインテリも同じ啖呵を切る。リスムがあって、声を出して読むに相応しい。特に前半。口から出任せでないにしても。尾崎紅葉が添削したとすると、尾崎もこの調子なのだろうか。尾崎が他界してから発表された作品だから尾崎の手が入ってはいまいが、尾崎も読んでみるか。
しかし、ま、生涯に読むべき本とはいえないなぁ。時間をつぶすには都合がいいかもしれないが。

le jeudi 11 juillet 2019
7時、快晴、1842.5

le vendredi 12 juillet 2019
6時半、快晴、1840

ウィンブルドン。ナダルとフェデレルの試合は面白かった。第2セットのフェデレルは不甲斐なかったけどね。第4セットは競り合いでスリルがあった。一昨日の錦織さんはあと一歩。

le samedi 13 juillet 2019
7時、快晴、1842.5%。

『麻 蝦夷 御主 殿 とともに むる より 焼金 吸口 耀け り。 黄金、 帯留 黄金、 指環 黄金、 黄金、 時計 黄金、 今又 煙管 黄金 あら や。 黄金 なる 哉、 金、 金!   知る し、 その 金!   貫一 独り 可笑し さに堪えざりき。』(『金色夜叉』)という箇所、笑ってしまうよね。こういうところが随所にある。リズムがある。ユーモアがある。古典落語だ。

『熱し とて 被風 脱げ ば、 羽織 無く て、 粲然 たる 紋御召 全帯、 華麗 入り たる 友禅 帯揚 て、 後れ 被る 搔上 ぐる 手首 には、 早蕨 二筋 寄せ 宿れる たる ぬ。』(同上)
詳しい服装の説明は、鴎外も鏡花もする。当時の常識だったのだろうか。

le dimanche 14 juillet 2019
6時半、快晴、1845%。フランス革命記念日。

パリはシャンゼリゼで軍事パレード。軍事大国フランス。

le lundi 15 juillet 2019
7時半、快晴、1850%。
尾崎紅葉
『引連れ たる は、 二十歳 二つ 三つ 越し たる し。 銀杏 約め て、 本甲 蒔絵 根深 に、 大粒 瑪瑙 簪、 堆朱 根掛 て、 一髪 をも 乱さ ず、 極めて 快く たり。葡萄茶 格子 御召 勝色 て、 羽織 紋縮緬 紋、 模様 袱紗帯 金鎖 引入れ て、 友禅染 襦袢 口元 つつ、 四季 かに たる が、 此方 向ける 素顔 蒼く、 点さ で、 やや くも ぎたらんやうの 蕭衰 帯び たれ ど、 たる 色香 て、 漫ろ 染む ばかりなり。』(続続金色夜叉』。参っちゃうね、こういう表現。微に入ってる。いちいち調べるのも面倒だから読み飛ばすものの、感心したり、どういうカタログから引っ張り出したのだろうと推量したり、当時の趣味をおもんばかったり、面白い。映画を撮るときはこういうのを全部参考にするのかしらんと。

大体がこの小説、冗長、饒舌なんだよ。誇張にあふれている。科白が長すぎる。登場人物は優柔不断。新派大悲劇。

読み終えて、この小説が未完ときけば、さもありなんと思う。けだし、永遠に続く物語にして、終わりなきものに違いないのではないかと思う。作者が亡くなってしまったから未完というだけではないだろう。

尾崎紅葉って、30代半ばで亡くなっている。夭逝のうちだ。僕は夭逝志願者だったが、ぬくぬくとまだ生きている。人生100年とは、バカなことを云う。年寄り程、長生きしたいと云うそうだ。愚かしい。江藤淳、川端康成は自殺している。自殺は出来なくなってからでは遅い。意識のあるうちにしなければならない。海外にいて自殺は迷惑だから僕はまだしない。

川端康成はガス自殺だって(1972年、享年72)。睡眠薬ハイミナールを飲んで、カス管を加えて死んでいたのだそうだ。ハイミナール等の睡眠薬は楽天などの通販で買える。致死量は知らない。けれど都市ガスとのコンビネイションは名案だった。現在は都市ガスにCO(一酸化炭素)が含まれていない。従って川端のやりかたでは死ねない。

江藤淳は66歳、1999年に自殺している。浴室で手首をカミソリで切ったという。これは痛そうだ。

映画監督伊丹十三は1997年、自宅マンションから飛び降り自殺した。これも痛そうだね。ジュネーブに住んでいたとき、隣家の青年がやはり自宅(4階)から飛び降り自殺した。地上に落ちたときはまだ息があったらしい。その数年後、母親もスペインに帰国後自殺している。方法は知らない。青年の弟も自殺、妹だけが気丈夫なのか弁護士になっているはずだ。飛び込みはやっぱり痛いので避けたい。

ま、今すぐの話ではないので、この辺で自殺の話は止めておこう。

le mardi 16 juillet 2019
7時、快晴、1850

le mercredi 17 juillet 2019
6時半、快晴、1847.5.

ジョニー・クレグJohnny Cleggが亡くなった。66歳。2015年から膵臓ガンで闘病中だったそうだ。「白いズールー」と呼ばれた彼の歌『アシンボナンガAsimbonanga』は感動的だった。
ジョニー・クレグの人生そのものが波乱に富んでいる。誰か映画にしてくれたらよさそうな。アパルトヘイト下の南アフリカでズールーと組んだなんて偉い。ユダヤ系なのにユダヤの狭い共同体に与しなかった。

西鶴『好色一代男』。響林社の電子本で長田幹彦による現代語訳を読む。現代語といっても明治の香りがする。鴎外が協力した雑誌『スバル』に詩作を発表したこともあり、流行作家にも長田幹彦はなったとWikiediaにあるが、彼の作品を読んだのはこの現代語訳『好色一代男』が初めてだ。『好色一代男』は、世之介というマニアック、偏執、パラノイアの男の一生である。世之介が女狂いなら、いやいや世之介はバイセクシャルだから少年や青年もいける、西鶴も気が多いのだろう。ともかく笑ってしまう。よくもまぁ、こう次から次へと話が続くものである。日本各地に世之介がいくから旅行記にもなっているようだ。親に勘当されてからは、職業を次々と変える。神官、僧侶等々。

翻訳文章は上手いと思う。

le jeudi 18 juillet 2019
6時半、快晴、1847.5%。

櫻井よしこなるタレント、批評家がいる。ちょっと言動が酷いなぁ。メディア露出が多いようだが、どうしてこんな人物が持て囃されるのだろう。日韓がぎくしゃくしているのに油を注ぐような発言を繰り返している。

野口英世。偉いねぇ。世之介見たいだったんだって。でも研究と放蕩を両立させたんだ。黄熱病の研究中、ガーナで死んじゃって、アクラでは遊ばなかったのかなぁ。

黄熱病ワクチンは10年に一度だけど、これが9年目でも効く保証はないだろう。ま、蚊に刺されないことだ。

ガーナの首都アクラに野口記念医療研究所がある。ガーナ大学の一部である。施設は日本の無償援助でできた。研究成果はどうなっているのだろう。一度訪ねてみたい。写真ではカッコいい施設だが。

le vendredi 19 juillet 2019
6時半、快晴、1845

le samedi 20 juillet 2019
6時半、快晴、1850%。

家の大家さんであるエジドさんが亡くなったと、義理の息子たちがやってきて報せてくれた。先週土曜日に入院、14日日曜日に亡くなってしまったそうだ。
エジドさんは数年目に奥さんアガータさんを亡くしている。
エジドさんには家賃を払う時にしか会ったことがないので葬式に僕は出ない。

コンゴでは簡単に人が死ぬ。

明日、参議院選挙。選挙関連投稿がTwitterFacebookで目立ってきたが、みんな選挙に行くのだろうか。

le dimanche 21 juillet 2019
6時半、快晴、1840%。

参議院選挙はここ13時に締め切られる。大勢は変わらないにしても、自民圧勝は避けたいなぁ。日本にいれば投票するけど、海外では大使館で投票。ルブンバシには大使館も領事館もない。郵便もRDCコンゴでは機能していない。e投票ができるようになるといいのだが。

電子時代である。本当は頻繁な投票が可能だ。スイス的直接民主主義の実施を電子投票を通じてすることができる。スマホから投票してもいい。いつかそうなるだろう。でも段階的に国民投票をスマホから出来るようにして瞬時に結果をだせるようにする。国会、代表民主主義を変えていくべきだ。

le lundi 22 juillet 2019
7時、快晴、1940%。

参議院選挙、自民支持が相変わらず多いのに呆れる。ま、そんなもんだろうけど。れいわ新選組で、障碍者が2名当選というのが興味あるところだ。山本太郎って面白い男だね。

le mardi 23 juillet 2019
6時半、快晴、1845%。

le mercredi 24 juillet 2019
6時半、快晴、1845%。

le jeudi 25 juillet 2019
6時半、快晴、1840

le vendredi 26 juillet 2019
6時半、快晴、1835。湿度がついに30%台。

室内は毎日18であるが、ルブンバシの気象台がある空港測定値は外気温10前後まで下がっている。キプシでもバイクに乗ると風がとても冷たい。凍死者がでるほどではないが、南半球の冬に入って寒さに震える。

ネットにつなぐと「制限あり」の表示がでた。「制限あり」とは結局不通と同じ。メイルもFacebookも表示されない。

そのうち9時から停電、断水。今日はさんざんな目にあうなぁ。地元鉱山会社Kicoがトランスフォの工事をしているからだとクリスチャンはいうが、そんなことでこちらは納得しない。

停電は10時半に一旦回復、1530分に再び停電。焼きリンゴを作るためオーブンを熱しようとした矢先だった。Merde !
それにズベレフ君がハンブルグで試合中だった。Merde, Merde !
16時半、回復。水も出始めた。

「紅蓮 白蓮 ゆかしく 薫り て、 浮葉 立葉 のそ 吹ける 面白 眺望 は、 赤蜻蛉 嬲り 初霜 向う 樹梢 染め てより 全然 なくなっ たれ ど、 赭色 になりて ばかり のう 立てる に、 忍び 白鷺 そろりと 歩む 姿 おかしく、 紺青 暮れ 行く ようやく 輝り 出す 背中 擦っ 飛ぶ の、 鳴き 渡る 趣味 ある 景色 下物 ほか 下物 て、 ほど 飲ま する 萊屋 二階 に、 気持 のよさ そう な顔 欣然 待つ 一人。」こんな切れ目のない文章が全体に続く幸田露伴『五重塔』である。
内容は人情話、講談か落語か、寄席の気分。面白い。会話の部分もいと面白い。瞬く間に読んでしまった。ハッピーエンドと分かっているので安心して終わりまで読めた。

似たような文章が一葉じゃないかと思って『にごりえ』をダウンロードした。

le samedi 27 juillet 2019
7時、快晴、1840%。

NHKWorldの日曜日朝6時半『Somewhere Street』。今日はベトナムのDa Nangの通りをカメラが映し出した。リゾート都市である。グルメはエビ、カニなど海鮮料理。大きなお椀のような竹の船で漁師が魚をとっていた。
街中の「329日公園」でバンブーダンスをしていた若者たちはこの日付の意味を知らなかった。1975329日はダナン陥落の日であった。ベトコンが米海軍・南ベトナム海軍基地のあったダナンに入城した。開放。
ベトナム戦争は1975430日のサイゴン(現ホーチミンビル)陥落で終わる。
日本はベトナム戦争に軍隊を派遣していない。しかし、戦争特需で大いに潤った。韓国、オーストラリア、ニュージーランド等は派兵し血を流している。
日本国内でもベトナム戦争反対の運動は確かに激しかった。だが、所詮対岸の火事に過ぎなかったのではないか。米軍がベトナムから撤退し戦争が終わったあと、ホーチミン政府が多くの国民を強制収容所送りしたことを日本は政府も左翼運動家もこれを非難しなかったし、多くの国民が難民ボートピープルとなって逃げ出したときも難民受け入れに積極的に行わなかった。「我関せず」であった。アメリカは80万人以上、フランスでさえ10万人近くの難民を受け入れている。日本は1万人。
ベトナムがドイモイ経済開放政策をとりだすと、日本はベトナムに積極的に投資しだしたのである。
現在ベトナム人の対米感情は2/3が好意を持っているようだ。

ベトナム戦争、またその反対運動とは何であったのか、僕たちの世代はよく反省してみる必要がある。単なる「思い出」や「あの時代はよく闘った」ではなくね。

le dimanche 28 juillet 2019
6時半、快晴、1842.5%。

アビジャン(コートジボワールの首都)で市のバス会社がIvecoの天然ガス使用バス250台を買う。都バスではどうなっているのかと思ったら、一昨年天然ガス使用バスは全車廃車して、ハイブリッドと燃料電池使用になっていた。東京さすがです。

『にごりえ』(樋口一葉)。暗いね。文章は流れるが、つまらない。「勝手にしやがれ」って気にさせる。花柳界、分かりませぬ。昔読んだ『たけくらべ』の方がましだったような。

le lundi 29 juillet 2019
6時半、快晴、1845

『たけくらべ』を読み始めた。筋を全然思い出さない。初めて読む気持ち。こちらも花柳界だなぁ。樋口一葉って、Wikipediaを読むと夭逝、僅か24歳で亡くなっている。割と貧困の中で育ち、文学作品を書いている。鴎外に高評価を得たのが勲章のようなものだ。借金をしながら、返済のために小説を書いている。苦しい生活だったんだ。結核が死因というから、病気にも長いこと悩まされたことだろう。そう思うと『にごりえ』、『たけくらべ』も、下町や遊郭に生まれたわけではなく、体験ではなく観察から描いたわけで、詩歌の世界の延長といえる。リズムはそこから出てきたのだろう。
結核などにならず、森茉莉(84歳)ほど生きることが出来たならば、面白いおばあちゃんになることができたろうに。「小生意気な少女」で終わってしまった。運命だけど。薄命。

le mardi 30 juillet 2019
6時半、快晴、1842.5%。

京都のアニメの会社が放火で35名以上が焼死犠牲になった事件。犯人のことばかりが報道されている。住宅街のようだ。3階建て。防火施設や非常階段等、火災時の設備がどうなっているのか、誰も問題にしない。写真ではバルコニーしかない。消防法上では非常階段や避難経路誘導など必要なほど大きな施設ではないのかもしれないが、数十名の従業員が働いていた場所。火が出た時の場合、多数の犠牲者が出るような建物はおかしい。何か欠陥があった筈だ。敢えて報道しないのか。

le mercredi 31 juillet 2019
6時半、快晴、1840%

Nakomo』(Nakomとの表記も)、ガーナ映画。2016年、ケリー=ダニエラ・ノリスおよびTW ピットマン監督。首都アクラの大学で医学を学んでいたイドリスは父の死にともない生まれ故郷の村に帰る。しかし、旱魃だけでなく、貧しい村では将来がないと身に染みて悟り、大学に帰る。牧歌的で平和に見える村の毎日だが生活は苦しく出口がない。しかし、医者になって金持ちになるのがいいのかなぁ。「医は算術」と養老孟司さんのご母堂が云ったそうだから。

アフリカの農村の貧しさ。しかし、アフリカに限ったことではない。日本もかつてそうだった。戦前戦後の日本を思いかえせばよい。子どもたちは中学を卒業すると集団就職列車にのって東京にでた。そんな時代があったのだ。

僕のともだちD君はそんな集団就職組だ。経緯は知らないが、福島から東京に出てきて板前になった。若くして四谷に小料理の店を持たせてもらって今にいたる。演歌歌手にもなりたかったようだ。コンクールに出ていいところまでいったと聞く。身体をこわしたがなんとか元気に店のオヤジをしている。だが、ひとに云われぬ苦労も努力もしたろう。

今は過疎が問題になっているが、農業は貧困の代名詞ではない。しかし、そうなるまで日本人は良く働いた。よく勉強した。努力の国民である。一方、アフリカは。映画でも頻繁に「神のご加護で」と出てきたが、植民地主義と結びついたキリスト教が勤勉を教えなかったとみえる、神の恵みを待つのみなのだ。キリスト教が禁欲と勤勉を齎さなかったのは何故なのだろう。


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