04 janvier 2020

芥川龍之介 12月1日~31日 AKUTAGAWA, Ryunosuke / décembre 2019


le dimanche 1er décembre 2019
6時、雨、2470%。

カタンガはやはり涼しいというより寒い。

チーコちゃん、大分落ち着いてきた。

久しぶりの雨。ザンジバールでも時々雨が降ってはいた。変わり易い天気だった。キプシは確かに雨季を思い出させる。

ヴァカンス中、TVを一切見なかった。見なかったというよりも見ることが出来なかった。宿にTVがないか、あっても壊れていたからである。だからキプシに帰宅して久しぶりにTVを見た。

le lundi 2 décembre 2019
6時、曇り、2470%。

le mardi 3 décembre 2019
6時、雨、2470%。

8時、ネット不通。さっき雷が鳴っていた。サテライトTVも一時切れたが直ぐに回復した。817分、ネット回復。よかった。

le mercredi 4 décembre 2019
6時、晴れ、2465%。

洗濯日和。やっと旅行中の衣類を洗濯した。夕方までに快晴になりそうだ。息子クリスチャンはサッカーチームの練習に7時にはルブンバシに向けて出ているので、庭師クリスチャンに洗濯機で洗った後、洗濯物をすすいでもらった。水圧がないので風呂場まで水が来ない。庭の蛇口は低いので水が何とかでる。このすすぎ作業がシンドイのである。

庭師クリスチャンは、いままでの庭師、アンドレ、ジョゼ、ギ、クリスチャンのうち一番真面目でよく仕事をしてくれる。休暇中のチーコちゃんの世話も頼んでいた。

電力会社Snelから10月分消費電力請求書を受け取った。10月は月の半分が日に14時間以上の停電があった月で、Snalは一括みなし請求にしても減額するといっていた。さてその減額はいかほどか。5000フラン(3ドル)だけだった。総額43070フラン(2870円)。ま、引かないよりはいいが、何という欺瞞。

le jeudi 5 décembre 2019
6時、晴れ、2570%。

10時、電気料金をSnalで支払った。
15時、停電。

天気が日本の秋のように変わり易い。さっきまで晴れていたとおもったら、15時、雨が降り出した。

le vendredi 6 décembre 2019
6時、曇り、2467.5%。

僕は平野啓一郎のFacebookを読んでいる。平野は芥川賞作家だ。鴎外に心酔したのか、鴎外風の言葉を使って『日蝕』を書いた。面白いと思った。学生時代に書いた小説である。それから齢月がたち、平野も40代のオジサンである。
そのオジサンが『マチネの終わりに』なる小説を出している。ちょっと読みたいと思ってKindle版を探した。1000円以下で買えるけれど、誰かが99円だとFacebookで云っていたのに比べれば高い。「試し読み」版が無料で出ていたのでダウンロードしてみたら、イラスト(漫画)で小説のイントロを紹介していた。それを読むというか見ると云うか、読んでみると軽い小説だなぁ、と思った。
平野がFacebookで発言していることは、極めて常識的で真面である。『マチネ』が映画になったので、見たいなぁと思う。何時何処で見られるか分からないが。
現代作家で注目したのは三島由紀夫以来のことだ。『日蝕』の印象が強すぎるのかもしれない。

le samedi 7 décembre 2019
6時、曇り、2470%。

le dimanche 8 décembre 2019
6時半、曇り、2372.5%。

le lundi 9 décembre 2019
6時、曇り、2470%。

le mardi 10 décembre 2019
5時半、晴れ、2472.5%。

le mercredi 11 décembre 2019
6時、曇り、2370%。

脚の筋肉が痛い。昨日、かなり歩いた。階段を登ったり降りたり。普段歩かなすぎるのだ。スマホにいれている歩行計Podomettreが機能していなかったのでどの位歩いたのか見当がつかない。

Billy Elliot』(邦題『リトル・ダンサー』、Stephen Daldry監督、英、2000年)。日本で見たような気もするが、感動的な映画だ。実在のBillyはいないらしい。1984年の英国が舞台となっている。サッチャーリズムで炭鉱が閉鎖されようとし、ストが続いていた。厳しい社会背景である。

le jeudi 12 décembre 2019
6時半、小雨、2470%。

歯痛。パラセタモル1000㎎。

le vendredi 13 décembre 2019
6時、晴れ、2472.5%。

95分、洗濯中に停電。あっ、参った。
停電すれば、メーターが回らず、電力消費量に従って料金を払うならば料金が加算されない。ところが、電力会社は、メーターを信用せず、見做し料金を今年からかけてくるようになってしまった。電力会社にとって、一般電力消費者は全く重要ではない。大企業、ここでは鉱山に電気を供給するすることが大使命である。特に銅鉱山に電気を供給しないと、カソードが出来ないから、輸出、即ち外貨収入に直接悪影響がでて来る。輸出が減れば、国家の税収がとたんに減る。個人所得税などは微々たるもので、国の税収は企業が払えないと上がらない。その意味で鉱山への電力供給は個人の家庭への供給に優先される。電力供給、発電は1970年代から変わっていない。僕の住んでいる小さな都市キプシは良い方で、キプシには鉱山があって、そのお陰でルブンバシ等に比べて、これでも停電が少ないのである。

昨日はアルジェリアと英国で選挙。英国は保守党の大勝利。アルジェリアは?
アルジェリアはAbdelmajid Tebbouneを大統領に選んだ。
英国はBrexitを粛々と進めるだろう。
アルジェリアの近未来は難しい。新大統領は長い「お役人」キャリアだ。軍の利益集団であるFLNが、「害のない」仁として推した人物だ。最低の投票率で、「正当性légitimité」が問われている。今年20192月に始まった「ヒラク運動」(アルジェリアの笑顔革命、アルジェリアの春)が全く終息していない。今回の選挙もボイコットしている。では、「ヒラク運動」は新しい指導者を提案できるのか。現在のところ、「ヒラク運動」は無政府的で、組織がはっきりしない、指導者がいない状態だ。
となると、一番危険なのはイスラムの台頭であろう。1990年代のイスラム(ジハディスト)の内戦、テロはアルジェリア人民衆の記憶に新しい。そのジハディストを押さえたのがブートフリカだった。
「ヒラク運動」をまとめる人物(できれば女性)が出て来ないとするなら、軍が最終的に出てきてしまうだろう。

le samedi 14 décembre 2019
6時、曇り、2470%。

le dimanche 15 décembre 2019
6時、曇り、2470%。

チーコちゃんにも抗生物質を飲ませる。Clamoxyl。ミルクに溶いて与えるのではなく、口を開けさせて薬を放り込むようにした。ミルクに溶かした時は、飲んでいるのかどうかわからなかった。こんどは直接口中にいれたが、チーコは吐き出さなかった。これを10日続ける。チーコの後ろから膿が出て、ベッドのシーツを汚してくれるからだ。チーコの体重を2.5から3kgつぃて薬の量を調節した。効果があって欲しい。チーコは膿を舐めてしまうが、これでは悪循環で治るわけがないと思う。
ここでは獣医があてにならない。

ヒトの医者も宛てにならないから、Automedicationで、僕は抗生物質商品名OfloxinOfloxacine 200mg)を今日まで10日続けて飲んでいる。今日が最終日。インターネットで症状と対応する薬を調べて、ここの薬局で薬を買う。薬局は処方箋など全く要求しない。
副作用など悪影響の有無を予めよく読んでおくことが肝心。
買ったOfloxinはベトナム製であった。5000フラン(330円)。よくあるインド製ではなかった。ベトナムの会社が米国の製薬会社のために製造と箱に書いてある。どうせ信用できる文言ではないが、ベトナムというとインドよりも信用できそうなのは偏見であろうか。

le lundi 16 décembre 2019
6時、晴れ、2467.5%。

le mardi 17 décembre 2019
6時、晴れ、2470%。

サルスベリの花が12月初めに散ったと思ったら、再び咲き始めた。不思議だなぁ。

910分前、停電。1145分、回復。

le mercredi 18 décembre 2019
6時、快晴、2665

710分、停電。ネットも中断。ネットは8時半に回復。電気も920分、回復。

髭を剃る。何で髭なんぞ生えるのだろう。しかも白い髭。

le jeudi 19 décembre 2019
6時半、快晴、2667.5%。

le vendredi 20 décembre 2019
6時半、快晴、2665%。

ルブンバシのスーパー「プサロ」で、稲荷ずしの揚げが特売コーナーで3500フランまで値下げになっていた。2袋買った。普段は10000フラン以上。先週はまだ8000フランだった。来週もしもっと値下げしたら買いだめするか。


le samedi 21 décembre 2019
6時半、晴れ、2560%。

12月初めからサテライトTVCanal+」がCanal+elleを放映しはじめた。Elleとは雑誌にもあるが、女性中心の番組を流すということのようだ。見ていると女性用とも別段思えないがねぇ。暴力的番組が多い中で、Canal+FamillyElleが暴力的でない番組を流すのには賛成だ。

le dimanche 22 décembre 2019
7時、快晴、2565。冬至(ここRDCコンゴでは夏至)

起きたら停電していた。クリスチャンに炭を熾してもらってコーヒー。このコーヒー、ザンジバールでインド人の店で買ったものだが、粗挽きで濃いコーヒーがでない。フィルターに小匙5杯いれてもダメ。


『羅生門』(芥川龍之介)。Amazonで芥川の作品集を1012円で手に入れた。
旧仮名遣い。青空文庫は新仮名に直しているのでつまらない。味がなくなるのだ。
『羅生門』、読んで見るとなるほど面白い。非常に論理が通っている。勧善懲悪ではなく、正に非情である。

『鼻』はちょっと教訓じみている。愉快な話ではある。他人の目が気になる、他人が常にある、つまり自己がない禅智内供である。鼻が長かったときは、食事にも不便だったのだから、短くなったらそれで満足であるはずだ。

『芋粥』もモラルを押し付ける。夢を見ているときが一番幸せということか。そうはいかないだろうと思う。夢は実現されるに越したことはない。実現された夢の次には更なる夢がある。

3作品とも面白いのだが、どこか優等生の筋書きだなぁ。才気走っている。でも、『羅生門』が一番面白かった。

le lundi 23 décembre 2019
6時半、曇り、2665%。

『戯作三昧』。滝沢馬琴の一日を描いたもの。作家、小説家の揺れ動く心理なのか。芥川自身の逡巡なのか。

この短編中にも横文字がでてきた。「フイリツピクス」である。正直、この言葉を知らなかった。Philippicsのことらしい。激しい攻撃的演説のこととWikipediaにある。フランス語ではPhilipiques。デモステネスのものとキケロのものとがあるようだ。芥川が引用したのはどちらを意識したものか、単に故事としてどこかで使われていた言葉を引用したのかは不明。Wikitionnaireではジュール・ベルヌやポール・フェバルによる使用例がでていた。日本語ではピリッピカともいうらしい。

『道祖問答』。なにがなにか分からない小編だ。

『偸盗』(ちゅうとう)。面白い。息をつかせない。偸盗と侍たちの戦いの場面も上手い。まるでチャンバラ映画をみているようだ。全体のストーリーも上手い。傑作、傑作。ま、ハッピーエンドともいえる。ま、兄弟愛だよなぁ。悪者は全員殺された、死に絶えた。

小説中に凌霄花(ノウゼンカズラ)の香りがでてくるが、凌霄花には香りがないそうだ。何かの間違いか、筆が走ったか。
夏の花で香りの強いのは梔子(クチナシ)だ。

le mardi 24 décembre 2019
6時半、快晴、2565

『蜘蛛の糸』。高校の教科書に載っていたような気がする。あまり面白くない。これは児童文学だったのかぁ。子どもたちに、寛容を説いたのだろうか。蜘蛛の糸が切れることを心配して、後続の悪人どもにどなるより、慌てて糸を手繰って極楽に昇る道を急ぐという選択もあるわけである。ま、お釈迦さまは、犍陀多のエゴがわからぬでもないだろう。
僕なら「「そう慌てるな、みんなが昇ってきてもいいではないか、いっしょにこちらにおいで」と声をかけ、極楽についた犍陀多を抱きとめた」としてしまうだろう。釈迦の慈悲はそれでなければ、思い付き、気まぐれになってしまう。

『地獄變』。絵師良秀の物語。徹底している。多分そうなるだろうという予測はついたが情け容赦なく結末まで行ってしまう。芸術至上主義かぁ。しかし見たものしか描けないというのは芸術家じゃない、と僕は思う。小説としては面白い。

le mercredi 25 décembre 2019
6時半、曇り、2665%。

『帰ってきたメリーポピンス』。楽しい映画だった。デズニー映画、お金もかかっているだろうが、シナリオ、配役、色彩、全てがよく計算されている。
フランス語吹き替えがまた素晴らしい。単なる翻訳ではない。全く自然だった。

『邪宗門』。確かに未完。芥川が途中で新聞連載を止めてしまった。書かれなかった先を想像させて面白い。しかし、完成できなかったのはストーリーの破綻かもしれない。若殿が沙門摩 法師との勝負に勝つことが予定されているのだが、話の運びとして、実際には勝てない、ロジックとして勝てない沙門に仕立ててしまったからだ。

le jeudi 26 décembre 2019
6時半、曇り、2565%。

『奉教人の死』。このタイトル、La mort d’un chrétienほどの意味。面白い日本語、長崎方言で書かれている。全くの方言では一般に通じないから雰囲気を残して改めてあるのだろう。
内容は、殉教者の物語。誤解が生んだ悲劇、信仰厚い少年の死で終わる。大変面白かった。「ろおれんぞ」はLorenzoで、イタリア、スペイン、ポルトガルの名前。洗礼名にラテン系の名前をくれるから、それでいいのだが、アンドロジノスAndrogyneではないかと、ふと思った。

le vendredi 27 décembre 2019
6時半、快晴、2667.5

『枯野抄』。有名人芭蕉の臨終の様子を描く。荘厳でも、悲嘆でもない別れ。50歳で他界しているが、酷く老人に描かれている。人生50年の時代だったに違いないけれども。芥川は師匠の臨終にかけつけた弟子たちを覚めた筆致で書いているように思う。俳聖だからといって特別ではない。死は死なのである。
小説の解釈はいろいろ出来るだろうが、面白い作品ではない。芥川が芭蕉のような死を望んでいたとも思えない。

『南京の基督』。不良ガイジンがキリストに見えてしまった少女、15歳だよ、これは数えだから満14歳、そんな少女を買う男、まるでコンゴの兵士じゃないか。兵士は買うのではなく、暴行するのだが。日本の旅行者といい、George Murryというガイジンにせよ。二人とも梅毒で死んでしまえばいいと思う。
少女金花の夢は、信仰の賜物、奇跡でいいじゃないか。詮索することはない。

le samedi 28 décembre 2019
6時半、曇り、2670%。

730分、停電。
NHK Worldで芥川の上海旅行のフィルムを流していた途中。

『杜子春』。児童向けらしい。
芥川の文章って、擬古文だったり、何々「ます」調だったりと自由自在で面白い。
杜子春が大金持ちになったとき、そのお金を一部何かに投資すれば、お金が回って再び貧乏になることはないのになぁ、などと考えた。
仙人鐵冠子が歌う詩が面白い。峨眉山に青竹に乗って行くときに歌った。峨眉山って、3000メートルもある山なんだ。この一帯ユネスコの世界遺産だという。現代中国もユネスコを活用しているとは面白い。四川省にある山で、もうチベットに近い、
芥川は中国に憧れていたのかなぁ。上海にしか行ったことがない。
『杜子春』の結末は、しかし、優しい仙人だなぁ、杜子春を仙人にはしてくれなかったが山東省にある泰山の家と土地をくれる。桃源郷か。ここもユネスコの世界遺産。
童話として、モラルを語る臭味がない。なかなかいい物語である。

『報恩記』。恩返しの話だが、芥川らしく、ちょっと「ひねって」ある。しかし、盗賊の恩返しは、考えてみれば、盗賊がどこからか盗んだ金を「恩返し」に恩をうけた相手に渡すわけで、犯罪を誘発したのに、これは小説で一言も問題にされていない。そこが問題だと思う。

作品中にでて来る阿媽港(あまかわ)とはマカオのことだった。じゃ、摩 伽(まりか)とは何処だろう。アメリカとは違うようだし。ネットで探し切れなかった。沙室(シャムロ)はシャムでタイとわかった。白檀山は、固有名詞ではなく、白檀があるインドあたりの山かと思われる。
「投げ銀」は、大正時代にまだ使われていたことばとは思えないが、江戸期に船、積み荷を担保にした貸付金のことを云ったとネットに解説があった。「投げ銀は倒れ」というのは貸し倒れのことだ。
「ふすた船」はポルトガルの小型帆船だそうだ。ポルトガル語Fustaはフランス語のFusteで櫂でも帆でも航行できる船である。

『俊寛』。悟りきった俊寛だなぁ。面白くない。しかし、鬼界が島が無人島ではないことがよくわかった。沖縄人が沢山住んでいたのだ。とすれば、沖縄人と妻帯して新しい生活を、菊池寛が書いたように、始めていても不思議はないなぁ、と思う。

『トロッコ』。小学生の作文のような。

le dimanche 29 décembre 2019
6時、曇り、2572.5%。

1015分、停電開始。15分後回復。
1250分、停電。1310分、回復。

『六の宮の姫君』。個性のない、意思の弱い姫君の話。「なりゆき」に任せる人生。しかし、落ちぶれて病に倒れた中でも歌をうたう。「たまくらのすきまの風もさむかりき、身はならはしものにざりける」。これは優雅なのかな、救いようがないねぇ。
姫君の乳母というのが偉い。一筋に姫君の世話をやく。それが乳母の選んだ人生なのか。その乳母に感謝もせず姫君は逝ってしまう。エゴイストなのだ。「冷たい風ばかりが吹いて参りまする」と死す。
姫君を「あれは極楽も地獄も知らぬ、不甲斐ない女の魂でござる。御仏を念じておやりなされ」と内記の上人が云う。高僧にみとられた姫君は、それでも成仏できず、死しても鳴き声をこの世に残した。何故泣くのか。
ネットで見た感想では、上人が姫君を「不甲斐ない女」と断じたのは高慢だというが、僕は、それでも「御仏を念じておやりなさい」と云うのだから、親切な坊主じゃないかなぁと思う。

『漱石山房の冬』。漱石の書斎の様子と漱石との思い出の話。特に面白くはない。「W君の軽薄を憎みながら」で文章が終わる。W君とは渡辺庫輔らしいのだが、何が軽薄なのか、芥川の思い出に耽る胸の内をはからなかったからなのか、よく分からなかった。

『猿蟹合戦』。面白かった。何しろ笑ってしまう。オチは「君たちもたいていは蟹なんですよ」。だから、猿は蟹を殺し、蟹の子たちは猿に復讐して猿を殺し、リンチに成功した蟹たちは国家に死刑を宣告される。その蟹の子はまた猿に殺され、次の復讐が始まる。永遠の復讐の輪である。勧善懲悪で輪は断ち切れない。

『あばばばば』。子どもをあやす母親の声が「あばばばば」である。面白く読んだ。芥川が海軍機関学校の教師になっていたころの思い出話しだが、学校のことではなく、学校近くにあった雑貨屋のことを物語る。こういうのを「私小説」というのかぁ、なるほどね。では私小説とは出来のいい小学生の作文だ。しかし、「私小説」という分野を分けるのはどうしてなのだろうか。

ココアのDrosteは現在もあるオランダのチョコレートメーカー。1863年の創業。Drosteは創業者の名前だ。オーナーは何回か変わっている。オランダで一番売れているココアだそうだ。看護婦がミルクのカップをもっている姿が描かれているココアの箱がブランドイメージという。1900年のデザイン。芥川は尼さんと云っているが。
またFryもまた老舗で、世界で一番古いチョコレートメーカー。英国ブリストルで1728年創業。世界で初めて1847年に板チョコを作ったメーカーとWikipediaに出ていた。
大正期に上記両メーカーとも日本で手に入ったんだ。Van Houstenも輸入されていたことがこの小説で知れる。

De Hooghe17世紀の版画家、戯画家。知らなかった。
Spargo『社会主義早わかり』のSpargoは英国人でアメリカに移民し米国社会党に入党したJohn Spargoか。調べてもちょっとわからなかった。『社会主義早わかり』なる本も現在ないし、古本市場にも出ていない。
『佐橋甚五郎』は鴎外の短編だ。読んでいなかったので、早速、Kindle版を求めた。鴎外の小説を芥川が読んでくれたのはいいが、相手がでない電話を待つ間のついでのような読み方はもったいないなぁ。

玄米コーヒーも出て来た。きいたことがなかった。実在するがこれをコーヒーというのかなぁ。

『佐橋甚五郎』(森鴎外)。久しぶりに鴎外に接する。切れのいい鴎外の文章はいつ読んでも気持ちがいい。論理明快。家康は結局佐橋甚五郎を使えなかった。甚五郎が出奔するのも無理がない。甚五郎には甘利を殺害したように策士の才がある。朝鮮に渡って出世できた。面白く読めた。

さてまた芥川にもどる。
『大導寺信輔の半生』。芥川龍之介の自伝だろう。脚色しているにしても明らかである。そうして、小説としてはつまらないものになっている。信輔少年、信輔青年に僕は興味がないなぁ。

炊飯器が壊れた。3か月しかもたなかった。湯沸しポットではもっと短いものもあったように思う。ギャランティーなどない。あっても、コンゴでは意味がない。とりかえるしかない。だからギャランティーも48時間か、長くて1週間だ。修理できるかもしれないが、その忍耐力が僕にない。修理ができるという電気屋もあてにならない。以前電気コンロをペリカンさんに修理に出したがもどって来ていない。もう数年になる。

le lundi 30 décembre 2019
6時、小雨、2470%。

炊飯器をジャンボマートで買った。50ドル。勿論中国製。来年3月までもってくれるかな。

『玄鶴山房』。これもつまらない話。画家玄鶴の家庭のことがくだくだと書いてある。各人の心理描写というけれど、それがどうしたのだ、という気になる。こういうのを小説として発表するようになっては、もう芥川龍之介らしさがなくなってしまっている。

『河童』。想像上の動物である河童とタイトルにあるから期待したが、河童に河童らしさがない。人間社会と変わりない。苦笑するところもないではないが、平凡である。

『或阿呆の一生』。暗いねぇ。明るくなりようがないか。芥川の自叙伝なのか。短い文章のそれぞれに、研究者や詮索好きはああだこうだと解釈するのだろう。明示されなかった人名や土地の名前をあてはめて。それを予測できないではない作者は、それを楽しんで隠したのかもしれない。つまらない。

文章中に矢鱈「或」がでて来る。英語の不定冠詞「a」の日本語のつもりなんだろう。固有名詞を出したくないのか、思わせぶりだ。

le mardi 31 décembre 2019
6時、晴れ、2470%。大晦日。St Sylvestre

芥川龍之介の読書は『或阿呆の一生』で止めておこう。自殺前の芥川は普通の人、ごく普通の日本の作家になっているように思う。

コンゴ最後の家賃支払い$200を今年亡くなったオーナーの息子ジョナタン君にAirtel moneyで送った。

庭師クリスチャン君にも今月の支払いをする。$100。かれは本当によく働く。昨日カマを研ぐLimeをルブンバシのキンマートで買った。8500フラン。キプシの店は最後に残ったLime15000だといったそうだ。いい加減なことを云う店だ。

元日産のゴーン会長がレバノンに逃げた。日本の間抜けな検察、警察だよ。それともワザと逃がしたのか。何のために。

『高瀬舟』(森鴎外)。この短編を今年の読み納めにする。有名な作品で、教科書にも出ていたように思うし、文庫本でも、海外でも何回か読んだ。本当によく出来ている。無駄が全くなく、かといって無味乾燥ということもない。安楽死問題なので、学生の時、刑法の荘子邦雄先生も話題にしていた。

その荘子邦雄先生が90歳を越えて2013年に『人間と戦争 ー 一学徒兵の思想史』という本を著わされていることを知った。僕が学生のころには、広島で被爆していた民法の廣中俊雄先生、応召して海軍にはいりシンガポールでジョニ黒を飲んでいた西洋法制史の世良晃志先生など戦争体験があった先生が大部分だったはずだ。ところが、彼らは戦争体験を授業で語らなかった。荘子先生は九州帝大卒業の年、学徒出陣している。全く知らなかった。
荘子先生が高齢にたっして、戦争の本を書かれた。読んで見たいと思う。アマゾンで2750+693円配送料。朝日新聞出版。中古がでている。500円。

明日元旦から『L’Étranger』(Albert Camus)を再読しよう。海外でも何回か読んでいる。速読すると一日で終わってしまう長さだが、今回はじっくり読むつもり。PDFファイルでダウンロードすることができた。

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