18 septembre 2006

映画「アフリカの女王 African Queen」

原題はThe African Queen。原作はCecil Scott Forester(1899-1966)
の同名の小説。映画は1951年制作。John Huston監督。主人公は往年の
名優Humphrey bogartとKatharine Hepburnである。


「アフリカの女王」は郵便船の名前である。舞台は1914年のドイツ領
東アフリカ。小説は1935年に書かれたが、映画化されたのは1951年である
ことをremindedしていただきたい。

この冒険映画はとても面白かった。僕はDVDで最近見た。

ドイツ領東アフリカGerman East Africa(l'Afrique de l'est allemande)
は現在のルワンダ、ブルンディ、タンザニアである。しかし、映画では中央
アフリカと科白にに出てくるから、東海岸からは遠いルワンダが設定された
舞台であろう。川と湖と千の丘の国である。



この映画の出来たころ、アフリカに独立国は数少なかった。エジプト(1922年
英国から独立して王国へ)、エチオピア(植民地化されなかった)、リベリア
(1847年独立、但し米国がアフリカに作った特殊な国)等である。その状況
は1914年においても同様である。ドイツがタンザニア、中部アフリカを支配
していたため、英国にとっては東アフリカ制覇が完成していなかった。映画
ではドイツが必要以上に悪辣な国として描かれている。小説が書かれた
時代は、英国が落ちぶれて美国が派遣を握ろうとしていた時代で、
Foresterは英国の優位を書きたかったにちがいない。第二次大戦では、
彼は美国に渡り連合国を支援する宣伝文章を書いた。また映画が制作
された年はまだ大戦から僅か8年後である。ドイツは西側の同盟国では
なかった。英国は、ともかくドイツを追い出すことで、内陸部をベルギー
に譲ったものの、エジプトから南アまでアフリカの東海岸を植民地支配
することができたのである。

映画にアフリカ人は殆ど登場しない。それが独立前のアフリカの姿を
如実に物語っているといえよう。

映画は冒険物語で、中に恋愛がからむ。それはそれでいい。小説は英国軍
の活躍にも焦点があるようで、1927年に書かれたAndré Gideの『Voyage
au Congo』の社会性、正義に対する道徳とは比することが出来ない。
英国人作家で珍しく植民地支配を批判したEdward Morgan Forsterが
『A passage to India /Route des Indes』を著したのが1924年で
あったことを想起するとC.S.Foresterは、この映画にアイデアを提供
しただけで、Hustonの映画ほど興味ある作家では全くない。

BogartもHepburnも、この映画撮影のためにアフリカに行っていない
ようだけれども、アフリカの自然は現地で撮影されたらしい。
とても懐かしく、一刻も早くアフリカに行きたくなる。しかし、
情勢としてはどうもサハラ以南には行けそうにもない。それでもいい。
アフリカ大陸に戻りたいものである。

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