曇。7時、気温23℃、湿度70%。
昼、快晴。
久しぶりにシャワーを浴びた。このところ腰痛でそれどころのはなしではなかったこと、外出していて昼間温度が高いときに在宅していなかったことなどがあって、Sさんに日本から持ってきていただいたナイロン・タオルを使う機会がなかった。あ~あ、さっぱりした。
コンデMaryse Codéの『ティチューバ』より前にCCFからこれは借りた本がある。マリ出身だがセネガルはダカールの研究所にカマラ・ラエと同じように身を寄せていた民俗学者ethnologueハンパテ・バAmadou Hampâté Bâの著書『Il n’y a pas de petite querelle 小さな喧嘩なんてない』である。西アフリカのサバンナ地帯に伝わる口承小話(しょうわ)を本(もと)に脚色してまとめたものだ。
題名になった話は、2匹のトカゲが喧嘩しているのを、やめさせようとするが、誰もトカゲの喧嘩などにとりあわない。しかし、それが引き金となって大火事に発展してしまう。そして、小さな喧嘩を止めさせなかった関係者が次々と因果応報、いやおうなく責任を取らされてしまうというモラルである。僕はこの種の話が嫌いである。
集められた13話の多くはモラルを語るか、イスラム宗教色が出ている。しかし、『人とワニ』と題されたコントは極めて哲学的で面白かった。
草原で火に取り囲まれたワニが助けを求める。通りかかった人間がワニを助けて袋に入れ背に担ぎ湖まで助け出す。ワニは火の来ないところまで岸から離れてくれという。その通りにしてやって、袋からワニを出すと、「今朝から何も食っていない、お前をこれから食べる」という。人間は「恩をアダで返すとは」と怒る。ワニはではと水を飲みに来た牝馬やロバに意見をきくと、ワニが怖いからワニの都合のいいような彼らは答えをする。人間は彼らをこき使い、恩をアダで返すというのである。窮地に立った人間をウサギが助けてくれる。知恵者のウサギが「この袋はワニには小さすぎる。本当に袋に入ってここまで来たのかい。もう一度袋に入ってみてくれないか」とワニをだますのである。再び袋に入ったワニは、人間に撲殺され、その肉は人間に食べられることになった。さて助けられた人間が村に帰ると、最愛の息子が病に倒れている。助けるにはワニの血とウサギの肉が必要と医者がいう。ワニはウサギの知恵で袋にいれて持ちかえっている。それでは、助けてくれたウサギを捕まえて鍋にするべきか、選択はない。ウサギはこっそり医者の言葉をきいていて逃げ出してしまう。
この小話の解釈に結論はでない。倫理的な解決もない。そこが面白いのである。
ハンパテ・バは、ユネスコの役員もしたことがある。そのとき、イスラエルとパレスチナの小競合いにういて、上記の『小さな喧嘩なんてない』というアフリカの小話を引いて、大きな争いになる前に解決策を探れと国連に注意を促したとされる。アフリカの知恵だったが、誰も耳を傾けなったようだ。パレスチナ問題は今日も尾を引いている。
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