31 juillet 2014

7月30日 アフリカのミニバス(タクシーバス) taxi-bus en Afrique (RD Congo)

Le mercredi 30 juillet 2014
5時、快晴、2055

アフリカにおける大衆の乗り物は大抵の国でミニバスである。RDCコンゴも例外ではなくミニバスで人々は移動する。インフラの破壊されたコンゴでは乾季だけミニバスの路線サービスがある場所もある。大型バスもないことはない。しかしごく限られた路線だけを走っている。大都市間は大型バスが走っている国が多い中、コンゴでは都市間も交通は空路だけになってしまう。ルブンバシからダルエスサラムやヨハネスバーグに行くバスはあってもキンシャサやキサンガニ(オリエンタル州の州都)行きのバスはない。それどころかルブンバシから同じ州のタンガニーカ湖畔の都市カレミや反対にアンゴラ国境の都市ディロロに行くバスもない。
ミニバスをタクシーバスとここでは呼んでいる。例外なくトヨタの中古ハイエースである。ハイエースHiaceと発音できないので「ヤス」と云っている。
僕はこの「ヤス」を今月初めに1台買った。僕のNPO「日本カタンガ協会」で車を買ってタクシーを走らせている。僕の給与を払ってもらうためだ。大NPOではないから、会費や寄付金は貴重で、そこから給与や必要経費を出すことはできない。寄付金は100%活動のために使う。タクシーは5台まで増やしたが、初めに買った3台が老朽化して修理経費がかさんできたので売却、それに少し僕からお金を足して「ヤス」を買ったのである。
5人ほどテストをしてジャン君という若者を運転手に選んで26日(土)から営業を開始した。
タクシーバスを営業するため運輸省に届出をだした。その許可に3週間かかった。乗客を運ぶために改造も必要だ。日本では定員が何人かしらないが、ここでは18人となっている。運転手席に乗客2人、その後ろに横に2列の座席を作り8人、さらに後部は両脇に座席があり8人が乗る。定員は18名だが工夫をして20人乗ることもある。後部の空いた真ん中に2人入れるのだ。少し長い車だと後部を5人づつ10人にしている。
改造後の灰エースの内部
シートはL字型鋼で前の座席2つは一体になっているが
床に置いてあるだけ
僕は節約のためにルブンバシにでるとき去年から専らタクシーバスを利用することにした。自分の四駆(三菱L200)を使うと燃費が悪いから10km/Lしかいかない。キプシとルブンバシを往復するとルブンバシ市内移動をいれれば70km80kmに直ぐなる。すると燃料費が11000フラン(1100円)以上かかってしまう。バスに乗る「外人」は僕だけだ。コンゴ人でもお金持ちはバスに乗らない。今年4月になってキプシ=ルブンバシ間が20年振りに完全舗装された。快適といっていい走行になったのである。
後部から見た座席
改造費210ドル
ソファーは木の板に薄い発泡ウレタンを巻いて
ビニールシートをかぶせている
乗客としてではなく自分でタクシーバスを経営するといろいろなことが見えてくる。
1台のタクシーバスが走ると何人もの人が潤う。運転手だけではない。運行はキプシ=ルブンバシの往復である。運転手の組合が終点(キプシとルブンバシ)でパーキング料を徴収する。走る順番は組合のひとが到着順にリストに書きとめている。結婚式などで家族全員が移動するときは組合に連絡が入る。「ヤス」を貸しきるのである。家族が多いから15人以上に簡単になる。キプシ=ルブンバシは通常料金が乗客当たり1000フラン(100円)だが貸し切ると25000フランになる。
街道に出ると町の入り口(出口)に交通警察官が陣取っている。かれらには「つけとどけ」がいる。1000とか2000フランとか。出さなければ意地悪をされる。朝1回、午後1回の「義務」になる。
キプシの市役所の役人も何をしてくれるのか、何もしないのだが、ショバ代のようなものをとる。
車掌(receveurという)をジャン君は雇った。バスは切符を発行しないが、乗客から料金を集め、札(コインはコンゴにはない)の真贋を確かめ、ドアの開閉、前後左右の危険を運転手に報せる、また車内の掃除などの役目をする。車掌を雇わず、全て自分でする運転手もいる。
乗客を呼び込むひともいる。僕が乗るときも、「ここに乗れ、あそこに乗れ」と支持を出す。残り一人分の空席になると「モヤ、モヤー(あと一人だぞ)」と大声を上げる。この呼び込みは日本でいうアルバイトのようなものだが、中年のおじさんもいる。
これらの経費は全て運転手の負担だ。運転手は固定給与制ではない。オーナーには定額を払う。かつガソリン代も負担する。満タンで車を受け取るのだから満タンで1日の終わりに車を返さねばならない。ジャン君は朝のリストで上位に入るために5時に車を僕の家にとりに来る。若いからできるのだろうが、僕には勤まらないきつい仕事だと思う。
待ち時間も長い。5時に僕の家をでても、今日の順番は4番目だったそうだ。ルブンバシの待ち時間は更に長い。ルブンバシに到着してからキプシへの帰りの客を乗せて出発できるのは数時間後。昨日今日は19時半に車を返して2往復しかできていない。3往復しないと採算にのらないはずだ。

待ちを少なくする方策をたてたが、明日はまともに稼げるかな。

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