03 juin 2010

5月28日 le vendredi 28 mai 2010 小説『郵便為替』(ウスマン・サンベーヌ)他 roman≪Le Mandat≫(Ousmane Sembène), etc

Le 28 mai 2010. vendredi
快晴。

エイズ予防・患者支援のNOP「AMO」訪問。町村単位でエイズ・テスト(任意)を行い、陽性者の治療をしている。コンゴは幸いにして、南アと比べて性行動が違うこと(思春期に入って直ぐに性行為に及ばない、社会的抑制)、注射による麻薬摂取者が少ないことから患者数が少ない。とはいえ、エイズに対する知識が不足していて、たとえばカスンバレサ地域(ザンビアとの国境)では爆発的に患者が増えている。これは国境地帯という特殊性のため外国人の出入りも激しく、また多くのプロ(セックスを商売とする女性)がいるためであるという。プロは比較的エイズの恐ろしさを知っており、予防策を講じているが、客の要請により少しの金で予防策をあきらめてしまうことも多々ある。
予防対策のキャンペーンもカタンガ州各地に出かけて行って実施している。そのための移動車も2台ある。またキャンペーン用のパンフを始め、ポロシャツや帽子などもあった。
「AMO」は多くの国際機関の支援を受けている。またザンビア、南アの関連団体とも交流している。入院施設はないが、診療・治療施設がルブンバシに2ヶ所ある。そのうちの一つを来週見学することになった。テスト、診断、治療(薬)等全て無料である。

ルブンバシのフランス文化センタの図書館の会員になった。さっそくアフリカの小説家の本を借りた。ひとつはセネガル人作家Sembène Ousmane『le Mandat郵便為替』(1965)、今一冊はコンゴ(RDC)の作家Pius Ngandu Nkashamaの『La Mort Faite Homme人を作った死』(1986)。アラン君が高校の時に読んだ本だそうだ。
サンベーヌは映画人としての方が有名かもしれない。
小説『郵便為替』は、フランスに移民した甥から郵便為替が主人公Diengのもとに届いたことから全ての悲喜劇が始まる。筋は単純だが、セネガルの社会が浮き出ている。1960年代の社会だが、今も変わらないだろう。しかも、大筋コンゴにもあてはまる。イスラムとキリスト教と国の宗教はことなるもののコンゴでも似たり寄ったりの事件が起こりそうである。キーワードは「正直者は馬鹿をみる」(L’honnêté est un délit de nos jours)。サンベーネはフランスにドッカー(港湾労働者)として出稼ぎに行っていたことがある。またフランス共産党に入党したらしい。しかし、筆致は『蟹工船』などとは違う。ずっとエスプリが利いている。僕はアルジェリアやコンゴでの毎日を振返り、苦笑することしきりであった。
Nkashamaの方は、大学人としてフランスやアルジェリア(アンナバ)、コンゴはルブンバシで教鞭をとり、今はUSAの大学の仏語仏文の先生をしているらしいが、この作品は冗長でぐるぐると同じことを繰返し、重くて退屈至極。デモをして15年の刑を言い渡された学生の刑務所での夢想。一つひとつのフレーズは意味の深いことを云っているのに退屈する。飛ばし読みをしてしまった。

Gaston司教から返事がきて、契約の変更要請を受諾した旨の内容。一方、ムラプ神父からは、ごたごた言われてたまらないから賃貸契約を破棄しようという手紙。全く内容が違う。司教は神父の上の上の人のはずだがなぁ。ムラプ神父はそんなこといっていいのか。出て行けというなら出て行ってもいいが、面倒なんでね。わからずやの神父だ、ムラプは。

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