01 février 2013

2月1日bis 告訴さる plainte contre moi


告訴事件。
29日昼、マドンナがけたたましく吠えて門に飛びついていた。これほど吠えるのは珍しい。見ると人相風体のよくない男たちが門のところにいた。検事局からの呼出状を持ってきたのだ。30日朝9時に検事局に来いというものであった。当初全く心当たりがなかったが、よく考えてみると、1件だけ「もしかしたら」ということがあった。
翌朝308時半に、同じ検事局だが、ここの滞在許可証延長のために要求されていた無犯罪証明書作成のため司法官inspecteur judiciaireであるKwely氏の部屋に行った。その後検事正と面談、僕の件は若いポール検事が担当することになった。まだ、何の件のかわからない。ポール検事の机に行くと直ぐに調書を作成しだした。
案の定「もしかしたら」と思った件だった。
115()午前、キプシ市のルムンバ通りを通って車を運転して帰宅途中、前日の雨で出来た水溜りを悪路だから決して出せないスピードで走ったのに、パシャンと水が撥ねたらしい。全く意図しないことだが通りの反対側にいた男のシャツやズボンに泥水がかぶった。僕はそのまま走行したが、件の男が追いかけてきて、僕が車を止めたときに、「お前がこの泥を俺にかけたのだ、謝れ」と宣ったのである。この男、なんとも陰険であるし、不潔そうな男であったので、言いがかりかとも思ったが、一応「僕がやったというなら、全く気づかなかった、すまない。しかし、ま、この悪路だからね。態とやったことじゃないことは分かってくれ」など口頭で謝った。ところがこの男、執拗に「謝れ、謝れ」と繰返す。そして「謝らないなら、告訴してやる」という。僕は「じゃ、どうぞ」。僕がそのとき理解すべきだったのは、「誤れ」というのは「汚れを落とす石鹸代金を払え」ということだったのだ。300円とか500円とか、払っておけばよかったのだ。多分それで無事に済んだ。しかし、勿論、ムトンボが、「これは良い鴨だ、この外人から搾り取ってやれ」と思った可能性もある。
この男、昨日検事の口から、実は「日本カタンガ協会」の会長夫人の兄弟であるノルベールさんが住んでいるママ・イエモ通りに家を構えているムトンボという名前だと判明した。電力会社Snelの主任技師である。まともな職にある人物とみえなかったが、キプシでは有名人らしい。しかも評判のよくない。
若い検事ポール・マサムナとは、笑顔を交えながら調書作成に協力した。僕は裁判所で審理してもらいたかった。そうすれば、当該の件は刑法56条を適用されて最高刑が26000フラン(2600円)の罰金(科料)で済む。しかし、起訴してしまってはこの検事は「儲からない」。だから彼は起訴しないことを一人で決定してしまった。僕はそれを拒否して起訴してくれとはいえないらしい。そして、僕に罰金として200ドル払えという。ネゴできるのかと尋ねると、「幾らなら出す?」、「50ドルでは?」、「それは不可能だ。150ドル以下にはできない」、「そこをなんとか、じゃ、100ドル」、「駄目だ、150ドルだせ」、「そんな高額の持ち合わせがない」「じゃ、誰かが持ってくるまで身柄を拘束する」、「それは困る」、「では小切手で支払う。あとで現金をもってくるから、小切手と交換しよう」となった。
小切手の受取人は国家かというと、そうではなく検事の個人名であった。これはまるでペテンだ。そこで、一応開放してもらうために小切手を発行した。
キプシ市には銀行がない。ルブンバシの銀行BIACに行った。第一の目的は無犯罪証明書発行手数料の振込みである。これに時間がかかった。というのは、国家の口座に振込みが完了したという証明書にサインする責任者である支店長が食事に出ていて、彼の帰りを待たねばならなかったからである。そんな何時になるかわからないものを待っていられない。銀行員に時間を決めてもらって、再度あとでまた来ることとして、別の用事(アントワーヌさんにてNPOの定款写しを渡すこと、アランの店でKwelyさん用のファイル・ホールダーを買うこと、スーパーで買い物等)をその間に済ませた。再度、銀行に行き、やっと証明書発行手数料振込み完了証明をもらって、キプシに帰った。検事局のKwelyさんに支払い完了を伝えた。ついでに検事との今朝のやり取りを話した。Kwelyさんは、検事が取り過ぎだ、しかも個人名で小切手を受取るなどもってのほかだ、と検事を批判。さらに「僕が検事正と話をしよう。いったん100ドルを覚悟したなら、100ドルということでセットルする。小切手はとりもどす」と。本当は法律通り2600円でお仕舞にしたかったが、調書にサインした手前、それがある意味「強制」だったとしても、100ドルは高い授業料として諦めざるを得ない。50ドルの節約。若い検事はそれでも取り損ねたと怒るだろうな。しかし、彼が貪欲すぎるのだ。もともと外国人から金をまきあげてやろうという、泥棒、詐欺師根性がいけない。小切手を現金化したとしたら、銀行に記録が残る。どういう理由で小切手が発行されたか、僕は当局に訴えることが出来る。しかし、そんなことをしてもまた別の金が必要になってしまう。告発も只ではないだろう。ま、正義はないとしかいいようがない。
Kwelyさんが翌日検事正と話を決め、小切手をとりもどしてくれた。
Kwelyさんは、僕とシスタ・アスンタ佐野さんに隣国ザンビアのソルウェジで会ったことがあるというのだ。2年前のことである。覚えがない。アスンタさんの日本旅券更新のためにルサカに行った帰り、日本人神父さんがソルウェジにいると聞いて彼の修道院に立ち寄った。ソルウェジは鉱山町である。そのソルウェジからキプシまで山越えをした。ソルウェジからキトウェKitweに戻ってカスンバレッサの国境越えをするよりも山越えの方が近いと思った。これは大失敗でキプシのザンビア側の国境で車中泊を余儀なくされてしまった。ともかく、ソルウェジの縁のお陰でKwelyさんが助け舟をだしてくれた。
しかし、ムトンボの所為でとんでもない羽目になった。ムトンボは僕の電気屋ペリカンさんの親友と聞いたので、ペリカンさんと夕方ムトンボに会った。検事局でも次第を伝えたかったのだ。そして、誣告ではないが、告訴して一体どんな得なことがムトンボにあるのか知りたかった。告訴取り下げは既に遅い。しかし、自分の告訴の結果を知るべきだと僕は思った。かれは夕方教会にいた。カトリック教会である。そうか、かなり信仰厚い仁らしい。しかし、バイブルを読み、教会で説教をきき、イエスや聖母マリアに祈りをささげる信者であっても、意地の悪さは変わらない。彼が「愛を説いたイエス」について何を学んだのだろう。
31日ルブンバシに書類を持って行くときに、モイーズ知事のTV局のジャーナリストであるオノレさんを車に乗せた。途中、前日の検事のことを話したが結論は「正義はないねぇ」。

僕は正真正銘犯罪履歴がない。前科はない。軽い交通違反程度以上の犯罪は犯していない。しかし、アルジェリアで、スイスで、フランスで、スペインで、モロッコで警察(検察もふくめて)にはお世話になっている。別段警察沙汰が好きなわけではない。だから独裁者の国の警察も怖くはない。一番質(たち)が悪かったのがフランスである。なにしろ、パリのオデオンのところで、何もしていないのに警棒で頭を殴られたのだから。警察の車(panier à saladeという)に乗せられ、自由になったのは朝方3時だった。警察は謝りもしなかった。
取り戻した小切手
これを使っていたら、検事は、、、。



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